シマノフスキ-変奏曲 op.3 ⑴
シマノフスキの二曲存在する変奏曲の一つ、「変奏曲 op.3」を取り上げる。
総則
この曲は1901年から1903年にかけて書かれたシマノフスキ最初の大規模なピアノ作品である。出版の都合で前後しているが「四つの練習曲 op.4」の次に書かれ、彼と非常に親交の深かったピアニストであるArthur Rubinsteinへと献呈された。筋道には逸れるが、近現代音楽史において”Arthur Rubinsteinへと献呈された”作品というのは大きな意味を持つものが多い。最も有名なものではIgor Stravinskyの超傑作《Trois Mouvements de Petrushka》が挙げられる。他にはヴィラロボスの《野性の詩》、ファリャの《ベティカ幻想曲》などが有り、何れもピアニスティックな粋を極めた作品ばかりである。
一段階上のオタクを目指すなら彼に献呈された以下の曲も大体把握しておきたい。
- Piano Rag Music(Igor Stravinsky)
- 赤ちゃんの一族(Heitor Villa-Lobos)
- ルービンシュタインのための練習曲(Carlos Chavez)
- ルービンシュタインのオマージュ(Alexandre Tansman)
- 歌と踊り第6番(Fredric Mompou)
- 組曲(Francis Poulanc)
- 第二ソナタ(シマノフスキ)
- マズルカ op.50(同上)
他にはタイユフェールの弦楽四重奏や、ピアノ協奏曲としても有名なシマノフスキの交響曲第4番などあるがここまで押さえておけば試験で困ることはあまりないだろう。
元の話に戻るがop.4に比べると保守的な和声によって書かれた主題と12の性格変奏によって構成され、attaccaにより連続して演奏される。この曲の30%を占める最終変奏はシューマンのトッカータとの類似点が指摘されるなどシマノフスキの中では少し特徴的な作品で、コンクールなどにも用いられ有名である。